2008/11/07

秋のサンタと時計の妖精

 これは本当にあったお話。

 あるところに時計が大好きな娘がおりました。しかし、いくら時計が好きとは言え、彼女には新しい時計を買うのに十分なお金もなく、彼女が持っている時計と言えば、祖母から譲り受けた古い時計だけでした。しかし、彼女はその時計を大切に使っていました。
 
 月日は流れ、悲しいことにとうとうその時計も動かなくなり、彼女に時を知らせるものはなくなってしまいました。「携帯電話があるから何とかなるわ…」と、彼女は自分に言い聞かせるものの時計がなくて困ることが時々ありました。「きちんと動く時計さえあれば・・・」

 ある時、親切な商人が「この時計壊れていて売り物にならないからさしあげます。」と、言って、彼女にマーカザイトの時計を差し出しました。キラキラと輝くその時計は、商人が言うようにブレスレットの口金が壊れており、彼女が何度その場で腕にはめようとしても、はめることは出来ません。それでも、「売り物にならないなら、何とか自分で直せないかしら?」と考えた彼女はその時計を貰い請け、家へ持って帰りました。

 その晩、不思議なことが起こりました。彼女がもう一度、時計を腕にはめようとしたその時です。口金は少し硬いですが、何と留まるようになっているではありませんか!彼女は目を疑い、何度も何度も確かめました。「どうもありがとうございました。」彼女は思わず空に向かってお礼を言うのでした。

 それからというもの、使うほどに口金のすべりは良くなり、壊れていたのが嘘のようになったそうです。実は、あの商人、もう何年も彼女のところに来なかったサンタクロースのお使いでした。そして、サンタクロースは時計に風変わりな妖精を住まわせ、「この時計を何とか使えるようにしてあげたい!」という気持ちが妖精に伝わった時に、使えるようになる仕掛けにしていたのでした。

 そして、今日も時計は、彼女の腕でキラキラと輝いています。

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 物事には理屈の通らないこともあるんだな~とつくづく思いました。皆様どうもありがとうござました。

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